2023.04.05前回、RPAコラムの第1弾として、DXの実現にあたって、RPAが一体どんなことに役立つのか、その考え方をお伝えしました。今回の記事では、実際にRPAを導入している医療機関がどんな業務に役立てているのか、事例とともにお伝えしていきます。 RPAにも種類がある? 前回のコラムでもご紹介したように、RPAというのはパソコン上で行っている定型反復業務などを覚えさせることで、人の代わりにその作業を行ってくれるロボットのようなものです。このRPAにも種類があり、クラウド型とオンプレミス型の大きく2つに分けられます。製品が変わってもRPA自体が行えることは大きくは変わりませんが、いくつか違いがあります。簡単にその違いをまとめると以下のようになります。クラウド型種類オンプレミス型インターネットが繋がる環境のみ導入環境閉鎖環境でも導入可能ネット環境のみであるため、院内システムなどとの連携が出来ない可能性あり。対応できるシステムネット環境、閉鎖環境どちらでも導入できるため、対応可能な範囲は広い。 前提として、クラウド型もオンプレミス型も、RPA自体の価格についてはメーカーによって異なるため、ここでは取りあげてはいません。 2つの大きな違いとして、まず導入環境が挙げられます。クラウド型(サーバー型)は文字通りクラウドにアクセスしますので、インターネットが繋がる環境である必要があります。一方オンプレミス型はPCに直接RPAをインストールしますので、ネットが繋がらない閉鎖環境であっても稼働させることが可能です。 続いて対応できるシステムの範囲ですが、クラウド型がネットに繋がる環境である必要があることを踏まえると、閉鎖環境でも導入できるオンプレミス型の方が対応できるシステムの範囲も広いと思われます。 以上のようにクラウド型にもオンプレミス型にもそれぞれメリットデメリットがあることが分かります。 それ以外によくご質問いただく点としては、RPAを動かしている間、PC上で別の作業をすることができるのか、というものが挙げられます。こちらについては、クラウド型、オンプレミス型に限らず、RPAの製品によって変わってきます。RPAを動かしている間は同じPCで別の作業をすることはできない、というものも多くありますので、バックグラウンドで動かせるものだ、とは考えない方がいいでしょう。 昨今だと、セキュリティ面の懸念もあるのではないでしょうか。セキュリティ面においては、クラウド型、オンプレミス型で性能が異なるというよりも製品によって異なります。RPAはロボットですので、指示をした操作はそのまま実行してしまいます。万が一外部から侵入され、ロボットを実行されてしまうとそのまま動作が行われてしまいかねません。それらのリスク対策として、ロボットのアカウント管理や実行状況の監視をするソフトを備えている製品が望ましいでしょう。監視ソフトがあると、万が一ロボットがいつもと違う操作や不審なページ遷移があった際にロックを掛けたりなどができ、万が一侵入された際にも最小限に留めることができます。それでは、各部署でどういった業務がRPAに置き換わっているのか、上記の特徴も踏まえながら事例を紹介していきます。では、なぜこの2つの種類があることをご説明したのか。ここまで説明を読まれた方はピンと来ているかもしれませんが、病院で導入されているシステムには、ネットが繋がる環境下で稼働しているものもあれば、電子カルテをはじめとした閉鎖環境で稼働しているものもあります。ということは、どの業務をRPAに代替させたいのか、どのシステムを操作させたいのか、によってクラウド型かオンプレミス型を選択する必要があるということです。この特徴を踏まえると、病院においてインターネットが繋がるPCでの作業が比較的多い人事課や総務課であれば、クラウド型かオンプレミス型どちらでも対応可能ですが、電子カルテなど閉鎖環境にあるシステムで業務をすることが多い医事課や医療情報課などの部署はオンプレミス型でないとRPAが活躍出来ない可能性があります。 どの部署のどういった業務を効率化していくのか、それを抑えた上で、導入するRPAを検討する必要があります。 それでは、各部署でどういった業務がRPAに置き換わっているのか、上記の特徴も踏まえながら事例を紹介していきます。医療情報課での業務の置き換え事例 医療情報課や医事課では、電子カルテを中心とした業務が多いのではないでしょうか。そういった部署では閉鎖環境であることが多いため、オンプレミス型のRPAを導入しているケースが多いです。具体的にRPAへ置き換えられている業務としては、『退院サマリ未記入者への督促業務』が挙げられます。詳細を見ていきましょう。<退院サマリ未記入者への督促業務>この業務は皆様の現場でも苦労されている点があるのではないでしょうか?いわゆる、退院サマリが未記入となっている医師に対して、記入のお願いの連絡をする業務です。弊社が効率化のご支援をさせていただいた病院様では以下のような状況になっていました。・退院サマリは電子カルテ上で記入をしているが、未記入者への督促自体は、導入している病歴管理システムに督促機能があるので、それを使用している。・しかし、電子カルテの情報が病歴管理システムに反映されるまでに時間差があり、安易に督促を送ってしまうと、既に医師が記入しているにも関わらず、督促を送ってしまうこととなり、医師とのトラブルになってしまう。・そのため職員が都度、電子カルテと病歴管理システムを見比べ、最新の記入状況を病歴管理システム上に登録する業務を行っている。・結果、1~2名の職員が患者一人ひとりの登録状況を確認してから督促を送るため、毎回2時間ほどかけて確認をしてから督促を送ることになっていた。 この事例のポイントは、電子カルテと病歴管理システムの紐づけがリアルタイムでないために、余分な業務が発生してしまっている点です。これは病院ではよくあることで、複数社のシステムが導入されていることで、システム間の紐づけが出来ておらず、システム連携をしようとすると多額の費用がかかるので、人手で対応しよう、と判断されているものがあるのではないでしょうか。これはまさにその典型例と言えます。ここで行っていた作業は以下のようなものでした。①電子カルテと病歴管理システムをそれぞれ立ち上げる。②病歴管理システム上でサマリが未記入となっている患者のIDを電子カルテ上で検索をする。③電子カルテ上で記入となっていた場合は督促リストから除く。(余裕があれば病歴管理システムにサマリを転記する)上記①〜③の作業は、まさしくRPAが得意な業務です。そこで、電子カルテから退院サマリの記入状況に関するCSVをダウンロードさせ、そのCSVをもとに病歴管理システム上で記入状況を検索するロボットを作成しました。 結果として、RPAの導入によって、上記①〜③をロボットに任せ、職員は別の業務に集中することが可能になりました。週に3時間ほど掛けていた業務から解放されることとなりました。管理課での業務置き換え事例 管理課や人事課、経理課などの場合、インターネットが繋がる環境下にあることが大半です。そのため、導入されているRPAは様々で、医療情報課や医事課などに合わせてオンプレミス型を導入しているケースもあれば、まずはお試し、ということで安価なクラウド版を導入しているケースも見受けられます。具体的にRPAへ置き換えられている業務としては、『旅費請求書作成業務』が挙げられます。詳細を見ていきましょう。<旅費請求書作成業務> この業務は医師などが学会への参加などで出張をした際に、交通費を支給するにあたって、最安値の検索とその金額を請求書に転記する、というものでした。最近はコロナの影響である程度落ち着いていたようですが、徐々に人の動きも戻っている今、再び業務が増えつつあるようでした。弊社が効率化のご支援をさせていただいた病院様では以下のような状況になっていました。・医師から紙媒体で出発地と目的地が記載された旅費申請書を受け取り、記載されている出発地と目的地をネット上で検索をする。・病院の規定上、距離などに応じて鉄道や飛行機などの手段を分けて検索する必要がある上に、請求書フォーマット(Excel)には経由地や経由地ごとの金額を記載する必要があり、手間がかかっている。・請求書を印刷し、医師へと共有する。(その後は経理に申請) この事例のポイントは、紙媒体であることもそうですが、旅程の検索や経由地ごとにExcelへ転記する必要があるなど、単純作業を繰り返す必要があるという点です。コロナの時期こそ月10件程度だったものの、学会シーズンだと月30件を超えることも多かったようで、2名の管理課職員が多い時は半日近く時間を掛けて業務を行っていたようです。 この業務についてもRPAへと置き換え、効率化が実現できました。具体的に行っていた作業は以下のようなものでした。 ①医師から紙媒体で出発地と目的地が記載された旅費申請書を受け取る。 ②記載されている区間の交通費をネット上で検索する。 ③検索した結果を、経由地や経由地ごとの金額を旅費請求書フォーマット(Excel)に転記する。 上記作業の内、②と③をRPAに置き換えることができました。旅費申請書自体は、グループ病院の規定上、その時点では変えることが難しく、紙の廃止までは出来ませんでした。ただ、申請書に記載されている職員名、出発地、目的地だけ指定のExcelへ記載をすれば、残りの検索から転記までの作業は全てRPAが代替してくれる、という状態になったことで、投下していた時間は大きく削減することに繋がりました。具体的には、1件あたり5分程度かかっていた作業が、人が操作することなく、1分足らずでRPAが自動で処理をしてくれるようになりました。申請が50件ほどあった時には4時間近く人が行っていたものが、十数分RPAを稼働させておくだけで、検索から転記まで完了できるようになりました。今回は導入環境を切り口とした医療情報課、管理課での導入事例をご紹介させていただきました。今後は、他部署での導入事例などもご紹介させていただきます。弊社のRPA特設サイトに上記事例をはじめとした紹介動画コンテンツも掲載しておりますので、是非ご覧ください。(https://service.nkgr.co.jp/rpa/about/hospital)次回のコラムでは、RPAを病院内でうまく展開させていくためにどのような流れで進めたら良いのか、その考え方をお伝えします。