2023.10.3これまで何度か病院におけるRPAの可能性についてお話をさせていただきました。参照:『RPAは病院でどんな使われ方をしているのか。』(https://service.nkgr.co.jp/rpa/news/posts/vMeJOx5y)今回は、失敗を避けるための心得について解説します。そもそも、なぜ導入がうまく進まなかったのでしょうか。よくあるご意見、お悩みとしては以下が挙げられます。・どの業務に活用できるかわからないままトライアルの期間が終わってしまった。・業務の洗い出しを現場とうまく進められなかった。・RPA自体の操作方法を理解するのに時間がかかり、RPAへの置き換え可否の検証方法がわからなかった。・担当者の繁忙によって、次の業務でのRPA化が進まず、思うような効果が得られなかった。なぜこういった状況に陥ってしまったのでしょうか?多くの場合、以下の要因が挙げられます。【導入前】RPAに置き換えができる業務の洗い出しをせず、『とりあえず試してみよう』で、導入またはトライアルを実施してしまった。【導入後】導入後に誰がRPAを使うのか、シナリオ(RPAを動かすためのプログラム)を作成するのかを決めていない。または、決めていても、RPAの活用に集中できるように業務調整をしていない。導入する前の検証段階においても、導入後の実行段階においても、注意しなければならないポイントがあります。今回の記事では特に導入前に注意すべきポイントについてお伝えします。(導入後に注意すべきポイントは次回のコラムにて解説いたします。)RPAに置き換えができる業務の洗い出しをせず、『とりあえず試してみよう』で、導入またはトライアルを実施してしまう。 これはRPAに限らず、システムを導入する際にも言える話ですが、必ず事前に検証することが重要です。RPAはパソコン上で行っている定型業務を置き換えることができる可能性を持ってはいますが、必ずしも全ての作業を代替できるわけではありません。操作したいシステムとの相性なども大きく関係してきます。つまり、RPAに置き換えられる業務が多数ある可能性もあれば、人の判断を伴う工程を多く含む業務においては導入が難しい場合もあるのです。 こういった検証には一定の時間がかかります。日々の業務と並行して各業務を洗い出していくのは至難の業です。その状態でとりあえず試してみよう、で導入してしまうと、『どの業務で試すのか?』を決めるまでに時間がかかり、折角導入をしてもロス(稼働ができない時間)が生じてしまいます。まして、多くのRPA製品の無料トライアルは1〜2ヶ月です。トライアルを試してみようと思っても、業務の整理が出来ていない状態では、あっという間にトライアル期間は過ぎてしまいます。 しっかり効果検証をするためにも、事前の業務を整理しておくことは必須であると考えましょう。業務の洗い出しはどこまで? 業務の洗い出しをするにあたって、まずは検証の対象とする部署を設定してください。そして、その部署の業務を全て洗い出します。この時、部署内で完結する業務はもちろんですが、他部署も関わる業務については、その関係性を含めて可視化することが重要です。 初めから対象部署を広げてしまうと、業務の洗い出しにかかる時間も多くなり、業務の洗い出しに抜け漏れが発生しかねません。まずは特定の部署に集中することが望ましいと考えます。また、「きっとこの業務がいいだろう」と予め業務に当たりを付けることも悪くはありませんが、候補に挙げた業務が必ずしもRPA化に適しているとは限りません。もし、難しかったとしても、第2、第3の案を考えるために、なるべく多くの業務を洗い出しておくことが重要です。 これまで複数の病院でRPA導入に向けた業務整理のご支援をさせていただいた中で、全くRPAが使える領域がなかったということはありませんでしたが、病院側が想定していた業務を検証してみると、RPAでの操作が困難であった、というケースはいくつか見受けられました。決め打ちで考えず、広く可能性を検証することが重要です。RPAだけにこだわらない!業務を変えるキッカケに使おう RPAへの代替を考える際に、もう一つ意識していただきたいのが、『今行っている業務フローにこだわらない』ということです。RPA化の検証をすると、『今の業務フローで行っているからRPA化できない』、『そもそもその業務フローである必要があるのか?』といったケースも生じてきます。どうしても「今までずっとこうやってきたから」と今のやり方にこだわりがちですが、そのこだわりが変革を止めてしまっているケースはままあります。置き換えられなさそうだから、と諦めるのではなく、『どんなフローにすれば置き換えられるのか?』、『そもそもこの業務は必要か?』といった、前提を疑うことが重要です。実際に、私が最近ご支援しているお客様では、RPA化に向けた取り組みを行いつつ、事務メンバーを対象に業務効率化に向けた勉強会を実施し、自分たちの業務の在り方について振り返ってもらっています。その過程で、RPAに適していそうな業務も見つけつつ、今の業務の在り方についても見直していただき、改善に向けて内部調整にもチャレンジしていただいています。 RPAはあくまでも業務効率化の一つの手段です。RPAに置き換えられなかったからといって、改善ができないわけではありません。他にどんな見直しができるか?と考えることが重要です。RPAの導入を契機に、自部署の業務を見直すことが、大事になっていきます。 総じてお伝えしたいのが、まず絶対に事前の業務整理を行いましょう、ということです。これをしないままに導入しようとしても、十分な検証ができません。RPA化できそうな業務がどれくらいあるのかをしっかり見定めていきましょう。また、この業務の検証をするにあたっては、単にRPA化できるのか、できないのか、だけを考えるのではなく、その業務フローであるべきか、など業務自体を振り返る機会にもしてください。日頃、そういったことを考える機会もないと思います。RPA導入の機会は、あくまでも業務効率に向けて取り組むための機会です。業務そのものを見直すキッカケとしても活用しましょう。